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昭和特に1960年~1970年代・山崎春三先生と堀口申作先生の時代

慢性上咽頭炎の概念は、大阪医科大学(現在の大阪医科薬科大学)耳鼻咽喉科初代教授の山崎春三初代先生にさかのぼることができ、鼻咽頭症候群の診断名で研究が行われていました。また東京医科歯科大学耳鼻咽喉科初代教授の堀口申作先生は鼻咽腔炎の診断名で研究が行われていました。

山崎春三先生は主に上咽頭と自律神経との関連について研究を進めていましたが、当時の耳鼻咽喉科の学界では外国論文にはない内容は非科学的と相手にされなかった様です(今の時代の「エビデンスがない」と一緒です)。治療法につては生活習慣の改善、食事療法の指導、鍼灸など東洋医学的な治療法を用いていました。

堀口申作先生は上咽頭の研究を精力的に行い、鼻咽腔炎の持つアレルギーやリウマチ、病巣疾患や自律神経との関連など多岐にわたるものでした。またBスポット療法(今の上咽頭擦過治療)を日本ではじめて臨床の場に用いた耳鼻咽喉科医師とされます。現在まで上咽頭擦過治療を継続している耳鼻咽喉科医が存在するのは堀口申作先生の功績によるところが大きいと考えられます。

昭和の時代、特に1960年代から70年代にかけて慢性上咽頭炎の概念は一時普及の兆しがありましたが、慢性上咽頭炎という疾患概念や上咽頭擦過治療という治療法が欧米誌に英語論文として投稿されなかったため、世界に広がることなく日本独自の治療法として、一部の耳鼻咽喉科医がこの治療法を継承してきました。以前は知る人ぞ知る治療法だったのです。