①上咽頭炎による直接症状:「咽頭痛」「のどの違和感」「後鼻漏」「痰」「咳」「咳払い」「咳喘息」「嗄声」「声が出しづらい」「頭痛」「頬部痛」「歯痛」「舌痛」「顎関節痛」「肩こり」「頸部痛」
上咽頭に炎症がある事により起こる症状です。上咽頭の炎症により「咽頭痛」や「のどの違和感」を感じたり、上咽頭の炎症部位から分泌される粘稠度の高い分泌物が上咽頭に張り付いて、これも「のどの違和感」として感じたり、その分泌物がある程度固まって、のどの下の方にながれてくるのを感じる「後鼻漏」、それがたまって「痰」、それを出そうとして「咳払い」「咳」、痰が声を出す声帯付近にたまると「声が出しづらい」「嗄声(声がかれる)」症状になります。
また上咽頭の炎症が、上咽頭でなく別の場所に飛んで痛みを感じる「頭痛」、「鼻の外側が痛い(頬部痛)」「歯が痛い(歯痛)」「舌が痛い(舌痛)」「顎が痛い(顎関節痛)」、「首が痛い(頸部痛)(肩こり)」などの放散痛も上咽頭炎の症状です。
空咳が止まらない症状(咳喘息症状)は上咽頭で産生された化学物質(アレルギーの原因になるもの)が下気道(気管支や肺)に悪影響を起こして症状を来している可能性(個人的な研究結果:呼気NO値がEATで低下する)や副交感神経の異常興奮によるものも考えられます。
②自律神経の乱れを介した症状や疾患 :「だるさ」「倦怠感」「めまい(浮動性めまい)」「睡眠障害」「記憶力の低下」「頭がすっきりしない(ブレインフォグ)」「きもちわるい(嘔気)」「医の動きが悪い(胃部不快感)」「便通の異常(下痢や便秘)」。疾患では「むずむず脚症候群」「線維筋痛症ME」「慢性疲労症候群CFS」
自律神経の調節異常により「だるさ」「倦怠感」「めまい」「嘔気」「胃部不快」「全身倦怠感」「うつっぽい」等の症状を引き起こします。上咽頭炎が自律神経調節異常を引き起こすメカニズムははっきりとしていません。
上咽頭、特にローゼンミュラー(咽頭)窩(上咽頭の左右外側のくぼみ)には組織学的に自律神経終末がたくさんあるため、同部位から多くの分泌物(唾液)が分泌されているものと考えられます。それらが炎症と相まって分泌異常をきたし、①と関連しますが「後鼻漏」「痰」と自覚するのかもしれません。
③病巣炎症として免疫を介した疾患:「IgA腎症」「胸肋鎖骨過形成症」「掌蹠膿疱症(掌蹠膿疱症性関節症)」「関節リウマチ」
病巣疾患とは『体のどこかに感染した病巣(炎症)があって、それが原因で感染した場所とは違う、離れた部位に病気(炎症)が起こる』事をいます。原因病巣で特に有名な場所は扁桃腺(口蓋扁桃)で、「IgA腎症」「掌蹠膿疱症」「胸肋鎖骨過形成症」は扁桃病巣疾患で起こりうる3大疾患とされています。
その他の病巣部位の1つが上咽頭であるため、上咽頭炎が病巣疾患の原因病巣の1つとなります。その他の病巣炎症:副鼻腔炎、歯周病